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不動産コンサルタント 大野レポート No.05
タカラ塾
2001年9月8日
命運を分けるもの
(ある相続紛争案件処理を終えて)
 昨年の夏に、相続がらみで最高裁まで争った事案(親族の骨肉の紛争事案)で、2件同時に私のほうにご相談がありました。
 ところが、長引くと思った事案の方が約1年弱で解決に至り、早く解決すると思った事案の方が、長引き現在も進行がこう着状態になり(最後の方のすりあわせで、強欲、自我プライドの為)暗礁に乗り上げてしまいました。
 奥さんやご子息は私の案に賛成で20年以上の争いに、ピリオドを打ちたい意向ですが、肝心のご主人が首を縦に振りません。
 もう1件の方は(これも18年間最高裁迄争った事案)、三兄弟姉妹三方を納めなければならなかったので大変だと思ったのですが、優秀なブレーン(税理士・不動産鑑定士・弁護士・司法書士等)にも恵まれ、プロデユ―スした解決案(叩き台)を最後まで(微調整は行ったが)貫き通したのが良かったと思われます。
 この2つの事案を比較させて頂き、以下のことに気づいた次第です。

1.成功した方の事案は、三方のうち一方の会社が赤字経営で累積債務が重くのしかかり、あと約1年で債務超過で経営破綻に陥る寸前だったこと。
 約2ヶ月~3ヶ月かけ、何回もやり変えたり、練り直して解決案(鑑定評価書含み、税務当局にも事前了解に近いものを取り付け)を創れたこと。
 それを実行するため、2代目にあたる紛争当事者は表に出ないで、3代目にあたる社長がある日、私の意見に目覚め、私の案に全面的に賛同し同歩調をとったこと。最大の相手との金銭交渉において粘り強く交渉し、ギリギリのところで、お互いに歩み寄ったこと。等々。

2.暗礁に乗り上げた事案の方は、最後の最後で兄弟間の意地(プライド)を押し通そうとしたため、せっかくの素晴らしい(手前味噌ですが?)解決案をもとに歩み寄ることが出来なかったことです。
 なんと7人男兄弟のうち、5人がすでに逝去されており、6番目と7番目のご兄弟が70歳台にはいっても、現在争っている状態です。
 どちらかが病気になるか、天変地異でも起こらないと気づかないのかなーと感じている今日この頃です。

 「過ぎ足るを削り、足らざるを補う」(無能唱元)を実行することが、すべての疫災からのがれられるということが、この人(一流大学出身で一流企業でエリートとしてのこれまでの人生感の中に、自分が額に汗して残した遺産でないものに、なぜそこまで執着されるのか?)には判らない道理であり、日々回りの人々(特に家族)に多大の不幸を押し付けている現状に、1日も早く気づかれることを願うばかりである。

タカラ塾塾長    大野 哲弘

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